直腸脱 |
「肛門から直腸が飛び出す」病気です
完全に腸が飛び出しているものから、腸の一部が飛び出している者など、程度は様々で、状態にあわせた治療が必要になります。3歳以下の小児とご高齢の方に多く、中高年では女性が男性の6~9倍といわれています。女性では、60~70歳台の方が最も多くみられます。原因は、様々ですが、女性は骨盤の構造上、肛門の筋肉が緩みやすく、肛門が開いて腸が出やすくなったり、そもそも直腸自体が下垂しやすい解剖上の問題がある方がいらっしゃいます。強いいきみなどの排便習慣が、脱出を増長してしまう可能性もあります。直腸脱の状態が定常化すると、常に浸出液が漏れたり、こすれて出血したり、便失禁しやすい状況になったりと、生活の質を著しく下げる原因となるため、治療が必要になります。治療は、手術療法が行なわれ、肛門から脱出した腸を戻して、肛門を締める方法と、お腹側から直腸を引き上げて固定する方法があります。どちらも利点欠点があり、患者様の状態に応じて、手術方法を選択します。また、直腸脱の方は、骨盤全体が下垂していることが多く、子宮脱や膣脱、膀胱脱を合併していることも多いため、同時に骨盤底を補強する治療も行なわれることがあります。