女性の為のおしり専門クリニック

静岡県浜松市にある女性スタッフだけのおしりのお医者さん

WEB予約
電話予約
アクセス
Instagram

【女医が解説】「自然に治る」は危険!産後のガス漏れ・便漏れ(便失禁)の原因と専門的な治し方

出産後の便失禁は、骨盤底筋ダメージのサインかもしれません

前回は、妊娠中・産後のお尻のトラブルを予防する習慣について解説しました。今回は、出産を経験した多くの女性が抱えるデリケートな悩み、産後のガス漏れ・便漏れ(便失禁)に焦点を当てます。

出産直後は「一時的なもの」と自己判断しがちですが、症状が残る場合は専門的な診断と適切な治療が必要です。当院では、女性専門クリニックとして、便漏れやガス漏れの症状(排泄障害)に関する診療を丁寧に行っております。

【女医が解説】「自然に治る」は危険!産後のガス漏れ・便漏れ(便失禁)の原因と専門的な治し方|女医による女性専門の大腸肛門外科|あいこレディースクリニック

1. なぜ産後にガス漏れ・便漏れが起こるのか?

出産直後から数週間は、肛門・膣周囲や尿道周囲の触った感じ、あるいは便意や尿意がわかりずらいと感じる方が多くいらっしゃいます。出産は短時間で胎児の大きな頭や体が骨盤内の臓器や周囲の筋肉を押し広げて通過するため、骨盤内組織に少なからずダメージを与えます。このため、一時的に便意や尿意、肛門を締める感覚が鈍くなることがあります。

多くの場合、出産後1ヶ月を経過する間に肛門周囲の感覚は戻ってきます。しかし、出産後1ヶ月を経過しても肛門を締めることが難しい、または便失禁が改善しない場合、主に次の2つの可能性があります。

  • 原因その1 肛門括約筋(こうもんかつやくきん)の損傷: 経膣出産時、膣の出口から肛門の方向に裂けてしまうことを分娩時会陰裂傷と呼びます。このうち、第3度または第4度分娩時会陰裂傷では、肛門を締める重要な筋肉である肛門括約筋までが損傷(切断)されてしまいます。通常、発生時には産婦人科医により切れた筋肉の縫合(修復)がなされますが、修復が不十分な場合に便失禁が生じることがあります。
  • 原因その2 陰部神経(いんぶしんけい)のダメージ: 肛門の機能を支配する陰部神経が、分娩時間が長引くことにより引き伸ばされ、ダメージが生じることがあります。この神経は骨盤内の仙骨から肛門近くまで伸びており、損傷が生じることで、肛門の筋力や感覚が低下し、便失禁の原因となります。

2. 産後の便失禁はどれくらいの頻度で起こるのか?

海外の報告では、出産から6ヶ月間で4人に1人以上の方がガスや便の漏れを経験していると言われています。これは決して稀な症状ではなく、多くの女性が経験しうるデリケートな健康問題です。

3. いつ専門医を受診するべきか?

出産後1ヶ月を経過しても、便漏れやガス漏れの症状が続くときは、肛門科を専門とする病院を受診しましょう。

専門的な診断のためには、肛門管超音波検査などで肛門括約筋の損傷の有無を正確に確認することが重要です。当院では、超音波検査をはじめとした検査を行うことができます。

4. 産後便失禁の治療法:外科的アプローチとトレーニング

便失禁の治療法は、損傷の程度によって内科的治療と外科的治療が使い分けられます。

【外科的治療】損傷が大きい場合

  • 肛門括約筋修復術: 手術によって見た目を改善することが望めますが、手術後長期間が経過すると肛門の収縮能力が低下するとの報告もあります。
  • 仙骨神経刺激療法: 排便に作用する神経を刺激することで便失禁を改善させる方法です。手術後長期間経過しても肛門機能を保つと報告されていますが、磁気を使った検査や治療ができない、5年ごとに電池の交換が必要などのデメリットもあります。どちらの手術を選択するかは、主治医と各手術の利点・欠点をよく話し合って決めることが重要です。

【内科的治療】損傷が軽度・または修復後の場合

肛門括約筋が切れていなかった場合や、修復が十分にされているにもかかわらず症状が残る場合は、内科的治療を行います。

  • 便の性状調整: 食事や薬(薬物療法)で便の固さを調整し、下痢や軟便になりにくいように便の性状を整えます。便のコントロールは、肛門への負担を減らすために最も重要です。
  • 骨盤底筋トレーニング: 肛門括約筋を鍛える筋力トレーニングを行います。骨盤底筋トレーニングは、尿漏れ・便漏れ対策の基本です。トレーニングは、呼吸を止めず、骨盤底筋に集中し、無理せず継続することが改善への近道です。

【当院の新しい可能性】肛門・膣HIFU治療

当院では、内科的治療の一つとして、便漏れ・尿漏れに対するHIFU(ハイフ:高密度焦点式超音波治療)治療を行っています。
HIFUは、超音波エネルギーを深部層まで照射することで、骨盤底筋をはじめとした組織のコラーゲン増生を活性化し、臓器下垂感や尿・便漏れの改善が期待できる最新の施術です。肛門に専用の細めのカートリッジを入れてHIFUを当てることで、肛門括約筋の引き締め効果が期待でき、便失禁の改善を目指します(肛門ハイフ)。
このHIFU治療については、次号で詳しく解説いたします。

5. ご自身でできる改善法:回復期に注意すべきこと

出産直後の1ヶ月間は、ダメージを受けた骨盤底に負担をかけないようにして、回復を待つことが大切です。この時期に無理に肛門を締める体操をする必要はありません。
回復期に意識すべき自己ケアのポイントは以下の通りです。

  • 便の調整: 便を硬くならないように調整しましょう(形はあるが軟らかいバナナ状の便が最適です)。水分をしっかり取り、バランスの良い食事を心がけ、必要に応じて便秘薬も活用しましょう。
  • 排便時間の短縮: トイレの時間をできるだけ短くし、力まずに息む排便を心がけましょう。
  • 骨盤底への負担軽減: 重いものを持ったり、長時間の立ちっぱなしを避けるようにしましょう。

一人で悩まず女医に相談を

産後の便失禁は、適切な診断と治療を行うことで、生活の質(QOL)を大きく向上させることが可能です。
出産後1ヶ月を経過しても症状が続く場合は、自己判断せずに、ぜひ一度WEB予約またはお電話にてご相談ください。

「あれっ?」と感じたら

女性医師・女性スタッフが対応いたします

PAGE TOP